一章

2/22

58人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
学校に続く桜並木を、まだ覚醒仕切ってない体で歩く。 校門が閉まるまではまだ余裕があった。 結局昨日は、一つになったミニトマトをサラダに変えて食したのだった。 「よう」 後ろから肩を叩かれた。 誰かは予想できている。 「野洋、おはよ」 肩を叩いたのは浅貴野洋(あさたか のひろ)。 小学校からの付き合いで、何かと縁を切るタイミングが見当たらない、腐れ縁だ。 どういうわけか、現在も同じクラスになっている。 通称アホ。 「誰に話してるか知らんが、失礼な紹介だな」 「うっかり本音が」 「身も蓋もねぇ」 朝からそんな会話をしつつ、俺達は生徒玄関へ。 一年生は入って右手に靴箱がある。 靴を入れて、上靴をはくために屈んだ瞬間。 俺は低飛行の前宙を披露した。
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加