一章

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もちろん、自分の意志で回ったわけではない。 誰かに後ろから押される形で回った。 運動神経はさほど悪くないと自負しているが、心の準備と、何よりこんな低さは前代未聞だ。 俺は前転寄りの前宙を頭から着地し、慣性で背中を打ちつける。 「すがっ」 変な声付きで。 一体誰が。 何て考える余裕はなく、痛みだけが体を支配する。 というか、少し意識が飛んだ。 体から痛みが剥がれていくと、ようやく声が耳に入ってくる。 野洋の野郎かと思ったが、その声は野洋とは違った。 「昨日の…下半身」 そこにいたのは昨日デパートで下敷きにされていた少女の下半身だった。 逆か。 下半身の少女だった。 少女は仕切りに謝ってる。 どうやら、この少女が俺を押したらしい。 どうにも故意的には思えないが。
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