第一章

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背丈にあわないライフルを両腕で抱え、狙いを定める。 だが魔物は既に相当の距離を取っていて、肉眼で確認するのは難しい。ライフルなら遠距離用のスコープが付いているだろうからそこは大丈夫だろうが、問題なのは威力。これだけ距離があると直撃しても大した傷にならない。 だが、それすらも杞憂であると、俺は知ることになる。 「術式、解放」 銃身に光る模様が現れる。魔力が物質に伝達する時に現れる現象だ。だがこれほど鮮明な模様が現れるには相当な密度の魔力を精製する必要がある。それはそいつがそれだけの腕を持っているという証だ。数秒とかからずに模様は全体を覆った。 そして、それを待っていたかのように、そいつは引き金を引いた。 そして、世界が揺れた。 あまりの轟音と振動によってそう錯覚をせざるを得ない。それほどの破壊力を持った弾丸は視認不可能な速度で発射される。 余波によって地面を抉り、破壊を振りまきながら数百メートル離れた魔物に直撃する。あまりの距離に通常ならば大したダメージは期待できないはずだが、そんな常識をあっさりと打ち破った。
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