第一章

2/11
639人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
その日は小雨が降っていた。 決して強い雨ではないが、それでも服は多少濡れる。そんな強さの雨。 そんな日に、俺は。 「……嘘、だろ」 周囲を埋め尽くす死体の山、広がる血の海。吐き気を催す悪臭。 そして眼前にには。 「ゴォオオオォォオオオ!!」 化け物の、群れ。その容姿は様々だ。鹿の頭部を持った個体、熊の胴体を持った個体。だが一貫して共通しているのは、全てが凶暴かつ強力な魔物であるということ。 「ゴォオオオ!!」 二度目の咆哮。直後、それら全て地面を蹴った。 俺を、殺して食べるために。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!