第一章

5/11
639人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
俺は恐怖で引きつった表情で目の前の魔物を見た。 魔物は強力な脚力でふざけた速度で俺に向かって真っ直ぐ走る。 「クソッ!!」 俺は持っていた諸刃の剣を地面に突き刺し、最後に残った魔力を絞りとって魔法を構築する。直後、劫火の壁が魔物を阻んだ。諸刃に刻んだ術式の中で比較的強力なもの、だが同時に代償は大きい。 数秒と持たずにその壁は消えうせる。劫火に焼かれた魔物が数体灰になるが、それだけだった。残る魔物はわんさか残っている。 「あぁ」 終わった。そんな言葉を俺は飲み込んだ。こんな弱気な部分が出世できない理由だといつも上官に言われていた。そんな上官も俺の真横で息絶えていうるが。 最後まで、へたれ癖は治らなかったな。あぁ母さんごめん。どうやらお土産をもってかえるって約束は護れそうになないや。 一番先頭に居た魔物が俺の目の前に来た。キリンの頭部を持った個体だった。 酷い容姿、酷い臭い。そんな存在は、大きく口を開き。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!