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頭蓋を粉砕され、鮮血を飛び散らせた。
そして力なく地面に倒れ、息絶える。
そんな魔物の姿を、俺は眼前で見ていた。
「……は?」
俺は間抜けな声しか出せなかった。それほど事態は急展開だった。
爆散した魔物の頭部。その返り血を全身に浴びながら、俺はふと振り返った。とりとめて理由があったわけではない。ただなんとなく後ろを見ただけだった。
そこに居たのは、幼い顔だった。
男か女かは分からない。中性的な顔立ちのそいつは微笑みながら魔物を見ていた。
「危ないところだったねお兄さん」
そいつは死体の山の中心にいるにも関らず悲痛な表情も見せず、むしろ、楽しそうに言った。声を聞いても性別は分からなかった。
「ちょっと下がっていてねお兄さん。少しだけ時間がかかるから」
そう言って、そいつは俺の前に出た。その段階になってようやくそいつの全貌を見ることができた。
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