第一章

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鋭く地面を蹴っての移動。慣れた動作だ。生半可な身体能力ではないことが分かる。それを魔物も本能的に理解したのだろう。注意がそいつに向いた。 だが注意が向いたにも関らず魔物はどの個体も反応できなかった。マークを振り切り拳銃を構え、そして交互に引き金を引いていく。次々と爆発していく魔物の頭部。こんどは魔物が狩られる番だった。 発射された弾丸は全て命中している。恐るべき精度と連射。そしてそれらをこなしながら魔物の攻撃もかわす回避能力。 流れるような動作。まるでダンスでも踊っているような印象を受ける。だがそいつは着実に魔物の命を刈り取っていく。 だがそこで、俺は違和感に気付いた。その正体は、そいつの持っている銃だ。 現代は一般人でもある程度魔物に対抗できるように銃火器の開発研究も積極的に行われている。勿論魔法が主流の対魔物戦闘だが、銃を使う者も居ないわけではない。 だからそれなりに威力の高い銃も存在するのだが、そいつが使っているおは大口径とはいえあくまで拳銃だ。魔物を一発で即死させる威力を出すにはまだまだ技術的に不可能だ。 ならば、出される結論は一つ。それには魔法が使われている。 それも見た限り主流の第三世代ではなく旧式の第二世代の魔法形式だ。もはや骨董品扱いの技術をこの目で見ることになったのは素直に驚きだが、それよりも気になるのはそいつの戦闘能力だ。
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