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僕は、羊を連れ、幾日も経つというのに、幸せは、見つからなかった。
「はぁ、幸せそうにしてる人が、沢山いると思ってたのに、いないものだ」
ラインハルトは、こんなに落ち込んだ事は、初めてだった。
十字路に座り、ぶつぶつと独り言を言い、何度もため息を吐いた。
その時、身なりの良い紳士が、ラインハルトの呟きを聞いた。
「フランツ、誰を見てるのさ。まさか、あいつ?ボロを着た若者じゃないか」
同じく、身なりの良い少年が、ラインハルトを見ている、紳士に話し掛けた。
「アンディ、彼を見てご覧。あの青年の、がっかりした顔を」
「それが何か?」
少年は、紳士に、なんだか、分からないと言った。
「あの青年を、ずっと、見ていたけれど、人に親切な心優しい子だったよ。何とかしてやりたいものだ」
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