ロビン

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俺の元に来た一通の封筒。 まったく身に覚えがない。   「採用通知…?」   そう、封筒の表面には達筆とまでは言わないがそれなりに綺麗な字で俺の名前と、そしてその下に採用通知と書かれていた。   最近の自分の行動を思い返してみる。   …………そうだ。 まったく身に覚えがない訳でもなかった。   ただ、その募集要項が余りにも滑稽で天真爛漫だった為に、なんとなく履歴書を送ってみたはいいが、後から考えると馬鹿馬鹿しくなり、記憶の片隅に転がしたまま放置していたのだった。   まさかな…。 本当に返ってくるとは思わなかった。   封筒の裏面には「まぢっく きゃっする」というスタンプが押されていた。   まったくもって不可解な世の中だ。 履歴書に書いた自己アピールなんて、せいぜい「いっしょうけんめい、がんばります。」程度のことだったような気がする。 それで採用なんて世も末だな。 …いや、この会社が特殊なのだろうか?   会社に対する一抹の不安を抱えつつも、封筒を開けてみた。 中身は地図と住所、…そして手紙。   手紙の内容は「採用おめでとうございます。○月○日○時にまぢっく きゃっするにお越しください。」といったもの。 少し淡白な気がしないでもないが、会社の採用通知なんて得てしてそのようなものなのだろう。   ……ん?   この内容物に軽く目を通してみて、可笑しなものが混ざっていることに気づいた。
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