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「お前らさ、これが昆布だってわかってて俺にわざと渡したろ?」
一瞬、彼等の時間が決壊する。
比喩的表現で言うならば、写真のネガのような状況に陥った。
その様子を見て、勇者は彼等の仕業だと確認する。
が、しかし。
「ば、ばかな……。塵取りを渡された時は最後まで気付かなかったのに」
「この短期間で、ここまで成長したとでも言うのか……!?」
「なん、だと……!?」
20の銀が驚愕したのは嘘がバレたことではない。
馬鹿が嘘を見破ったことだ。
「クフフフ、伊達で勇者の職業に就いたわけではないようですね」
「あらゆる意味で、馬鹿なのか、大物なのか……」
「もしくは馬鹿なのか大馬鹿なのか、このスペシャル馬鹿め」
「よーし、全員そこに横一列で並べ。昆布一本でできる3分クッキング、本日作るのは《銀と紅の人肉ソテー》、始まるよ☆」
クルクルと気色の悪い回り方をして勇者が不快度指数ぶっちぎりのぶりっ子ポーズを決めた。
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