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とある王国にて。
「おい、勇者よ」
「なんだジジイ?」
「ジジイって…儂、いちおー王様よ?」
「なんだ税金泥棒?」
「やめてくんない!家臣の前でそーゆーこと言うのやめてくんない!?」
「なんだロバの耳?」
「それ、儂のトップシークレットなんだけど」
「王妃が街中で叫んでたぞ?」
「マジでか!?ちくしょー、あの鬼嫁めが!」
「帰っていいか?」
「ダメだよ!話聞いてよ。勇者でしょ、君?」
「俺、勇者嫌いだし」
「嫌いだしじゃないよ!?だから家臣の前でそーゆーこと言うのやめてくんない!!」
「うるせぇな、メタボ」
「王様が全員デブだと思ってるでしょ!?それ勘違いだかんね!儂、スリムだかんね!」
「もうマジで帰っていいか?」
「ダメっつてんだろーが!」
「埒あかないんだよ、テメェ。城ごと燃やされたくなかった早く言え」
「あれ、東の森に魔王が出たらしいんだよ」
「そっか。大変だね。じゃぁね」
「あれ?ちょっ、君?勇者でしょ!勇者だよね!?」
青年は振り返って気怠そうに呟く。
「だから、俺、勇者嫌いなんだよね」
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