フジノヤマイ

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 彼女は僕の声にかぶさってそういった。  「ねぇ、君は一体誰が好きだったの?」  勝気な彼女の顔が、ふと沈む。  「初めの彼女?二番目?三番目?」  「さぁ・」  僕は一人ひとりの顔を思い出そうとした。  みんな・  同じ顔だった。  おんなじ顔で、僕を裏切り、切り捨て、出て行った。  この小さな白い部屋から。  この闇さえ忘れてしまいそうな白い部屋から。  「誰が好きだったんだろう」  めまぐるしく変わっていった彼女たちに、僕はもう、  「裏切られた感しか、残ってないな」  僕は親指の爪を噛みながら言った。  「何で?」  「だってそうだろ?毎回毎回、知らない女の子連れてきて、置いていって。」  僕にはいい迷惑だ。      
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