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僕はもう、彼女を好きにならなかった。
彼女も・
いずれ、僕の病に見切りをつけ、
出て行くに違いなかった。
ある日六番目の彼女は言った。
「明日、代りをつれてくるから」
掃除機をかけながらの片手間めいた言葉だった。
「いらない」
僕は答えた。
「そんな事、言わないでよ。約束なんだから」
彼女は言った。
そもそも、その約束が判らない。
「いらない」
「そんな意固地にならないでよ。とにかく、連れて来るから」
そう苛立たしげに言って、
再び鳴り出した掃除機の騒音が僕の声を消した。
「いらないよ」
僕はベッドの上でそう呟いた。
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