~プロローグ~

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〈野望×宿命〉 ここは、薄暗くジメジメした洞窟。 コウモリ達がギャアギャア言ってる。 その洞窟に怪しい一部屋がある。 「ただいま戻りました、首領様」 気持ちの悪い魚人が黒い法衣を纏う怪しい人物に膝まずいている。 「……マナの子を逃がしたな」 黒い法衣の人物は静かに口を開いた。 「も、申し訳ありません!」 魚人は必死に謝る。 「……あれ程しくじるなと言ったはずだ。 今回の件で警戒していると思う。 そうなると捕えるのは大変だ」 静かに立ち上がると黒い法衣の男は葉巻に火をつけた。 「今度は……。 今度は失敗しません!」 形相をかえ、魚人は謝り続ける。 「失敗は誰にでもある事じゃないの?」 二人の会話に一人の青年が割って入ってきた。 綺麗なサラサラのグレーの髪は少し長めで少し日焼けしたような健康そうな肌に優しそうな銀色の瞳をしている。 身軽そうな服装に腰に短剣をさしている。 少しばかりプレイボーイに見える。 「雷人様!」 魚人は顔をあげたほってしていた。 「帰ってたのか、雷人」 黒い法衣の男は青年を雷人(らいと)と呼んだ。 「ん~。 最近ギルドも不景気で暇なわけさ」 やれやれと言う顔をして雷人は言う。
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