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〈不思議な少女×運命〉
「きゃー!」
「早く逃げろ!」
緑豊かなとある町はいわゆる怪物達に襲われていた。
町のあちらこちらからは白い煙や炎が上がり、家や建物は倒壊していた。
「ケケケ……。
早く天女を出さないとこの町はこっぱみじんだぜ!」
気持の悪い緑の鱗で覆われた魚人らしき人物が銛を持っている。
どうやら怪物達の頭角らしい。
「愛流(あいる)!
早く逃げろ!
この隠れ家ももう限界だ!」
半崩壊している家屋に剣を持った男がドアの前に仁王立ちで立っている。
少女の父親である。
「嫌よ!
パパも一緒じゃなきゃ嫌!」
少女は仁王立ちする父の背中に抱きつく。
「愛流、生きるんだ!
そして勇者を探せ!」
父は必死に叫ぶ。
「何馬鹿な事言ってるのよ!」
父の言っている意味がわからず少女は叫んだ。
ガラガラガラ……
そんなやりとりをしていると家が更に壊れた。
「ミツケタミツケタ。
コロス」
魚人一味が少女と父を発見した。
「……よく聞くんだ、愛流。
あいつらの狙いはお前だ」
はっきりと父は言った。
「あたしのせいで……みんな……」
少女は下唇から血が出る程噛み締めた。
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