252人が本棚に入れています
本棚に追加
駐車場に車を停めると、アパートの階段を一気に駆け上がる。
切れかかってる廊下の蛍光灯が、昨夜と変わらずチカチカと不規則に点滅を繰り返していた。
『ったく…。
電気ぐらい付け替えろっつーの』
ぶつぶつ文句言いながら部屋の前まで向かうと、
『……あいつ…』
玄関のドアを背もたれにして、脚を伸ばして座り込んでる奴の姿。
『また来たの?』
俺の問い掛けにゆっくりと顔を上げたのは…
俺の愛しい…-‘想い人’。
『おっかえりー、仁♪
…遅いから待ちくたびれちゃった』
何の悪びれる素振りもなくニコニコ微笑むそいつは…
最近、何故か毎日のように俺の部屋に帰って来る。
『なんで自分んち帰んねーの?
つーか、来るなら来るで連絡くら
いしろよ』
俺はそいつ…亀の横をスルーして、ドアの鍵穴にキーを差し込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!