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「ごめん」
そう言って俺の肩に顔うずめる赤西君が震えている。
俺は信じられなくて、何も言えないまま、彼の背を撫でる。
「脱退する事になった」
彼の口からこぼれたその言葉は現実感のないもので、だけど重い重い響きを持っていた。
それはもう抗えないもののように。
いや、きっと抗えない。
赤西君が自ら辞めるなんてそんな事はあり得なくて、それは社長の決定なのだろう。
だからこんなに震えてる。
こんなに震えて泣いている。
今にも壊れそうな彼が痛かった。
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