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「それで、どうして辞めることになったの?」
あれからしばらくして、ちょっと落ち着いてきた赤西君に聞く。
意外と落ち着いた声が出た。
きっとまだ現実だと思えないからだろうね。
「俺が、KAT-TUNだけを選べないから」
そう弱々しく彼が言う。
「ん?」
良く意味がわからなくて、俺は聞き返した。
「社長にこれからどうするのか聞かれたんだよ。もしもKAT-TUNに戻るようなら、ソロ活躍の自粛はもちろん、私生活もKAT-TUNのために費やす覚悟をしろって。それだけの覚悟がなければ、お前をKAT-TUNに戻す事は出来ないってさ」
赤西君がギュッと膝にある拳を握った。
まるで痛みに耐えるかのように。
「俺は答えられなかった。覚悟が出来なかったんだよ」
吐き捨てるように言った言葉は赤西君の痛みを俺に伝えてきて、思わずギュッと抱きしめた。
「仕方ないよ。俺だってそんな事いきなり言われたら答えられないし、覚悟だってそんなすぐ出来るもんじゃないよ」
そう言う俺に、赤西君は違うんだと言うように頭を振る。
「俺は、お前らがそう言う覚悟を持ってる事も知ってた。そういう覚悟を俺も持たないといけないも!だけど、出来なかったっ!」
赤西君は痛々しい声でそう言った。
ここは普通なら驚くところだろうか?
それとも、怒るところかな?
だけど、不思議に驚きも怒りもなくて、むしろ納得してる俺がいる。
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