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「明楽ちゃん」
くるりと振り返ると、夜会から抜け出したのであろうお芋姉様が柱に寄り掛かっていた
「…風邪を引かれますよ、お芋様」
「もう、姉様でいいって言ってるのに」
少し拗ねたように言うと、んふ、と笑ってふらふらとこちらに歩き始めた
少し、酔っているのかもしれない
「明楽ちゃん」
呼び掛けに答える前に、頭に柔らかい二つの山が当たった
一瞬、思考が追い付かない
そして、嗚呼抱きしめられているんだなぁという事が分かった
「明楽ちゃんは、私の事好きかしら?」
どきん、と心臓が跳ねた
きっと疚しい意味じゃない
小さく息を吸ってから、なるべく冷静に聞こえるように口を開いた
「好き、です」
「…そう」
お芋様の声は吐息のようで
ここからではお顔も見えなくて
ただ、言ってしまったという思いだけでいっぱいだった
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