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『木崎さんのモニターに転送します』
女性の声の後すぐに、それがでる。
ガダンッ!
木崎はモニターに映ったそれを凝視したかと思えば、突然立ち上がり拳を震わせ湧き上がる怒りを抑え込もうとしていた。
「き、木崎さん。どうしたんで…」
「あ…の…やろ…!」
「木崎さん…」
『宮城、どうしたの』
「いや、木崎さんの様子がおかしいから。神谷そいつが誰か調べ…」
「その必要はない」
宮城とスピーカーの女性にそう言ったのは、木崎である。先ほどまでの狂いそうな程の怒りはなく、いつも通りの冷静な雰囲気にもどっていた。
「宮城、神谷。すまないが二人で出来るな?」
『はい、大丈夫です』
「どうしたんすか、木崎さん」
「別件で調べなければならないことが出来てしまった。…さっきのアバターのユーザー登録と誰かだけでいい、調べておいてくれ」
『了解』
「…わかりました」
二人の返事を聞いてから、木崎は部屋を出て行った。宮城は、その振り向かなかった背中に心配する。
『木崎さん、何があったんでしょうか』
「さあな、ただログアウトし忘れるほど焦ったんじゃねーか?」
そう言って宮城は、さっきまで木崎が見ていたモニターに視線を向ける。
アバターがつけていた服には四角形の中にアスタリスクの入った変わった紋章をつけていた。
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