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とりあえず長いチュートリアルと『navi』との会話は終わり、少しネットワークの中の街を歩く。
時間は午後九時、でかい時計台が知らせている。実際はモニターの左下に小さくある、でもやはり初めての別世界というか…たくさん見ておきたい。
ただ、ここで違和感があった。
誰からも声がかからない。いや、ユーザーが見つからない。
実際この時間は利用者が何人もいて、知り合いも何人かいる。
前のパソコンでも、チャットがないなんてことはほとんどない。
一応接続を確認しても、つながっている。
一応歩いている人に聞いてみるか。
「すみません」
そういいながら、右手で画面に映る人を触る。モーションキャプチャーだから問題は広めに動かさないと気づかないが。
相手が振り返る、オレは質問しようとしたら。
『ようこそ、ネットシティオオヒガシへ』
…これ、飾りのCPUだった。
前のパソコンでは画面上の街を歩く人を見てるだけだった。たまに、人が少ないと画面が寂しいと言う理由で、ネットシティ管理者が飾りを作った噂を聞いていたが。
こんな時にガッカリさせる。パソコン初心者状態をまたやらされて恥ずかしいやら、何というか。
…あれ?でも、待て。誰かいるならこの行為を笑う『荒らし』系の奴がいるはず。
「ナビ」
『navi:はい』
「なんで人がいない」
『navi:いないわけではありません。極端に少ない人数でこのシティサーバーが使われているだけです』
そんなバカな、深夜なら寝落ちとか寝てるとかで納得できる。今の時間は午後十時半を過ぎ、普通ならアクセスが集中して『しばらくお待ちください』なんて画面が当たり前にでる。出なくても動作が鈍い、遅い、重い。
そう、ポンコツだったパソコンで慣れていても、いきなり新しいもので快適になっても、おかしいのだ。
『:そこの少年、そこで何している』
突然画面とヘッドホンから全く同じ声と文字が流れた。
首を振り、その声の主を探そうとしたがどこにもいない。上下左右に首を動かすが見えない、しかし、さっきのCPUではなくはっきりとそれが『人間』が使っているものであるのがわかった。
『:聞こえないのか、アスタリスクの少年』
「アスタリスク?」
『navi:アスタリスクとは*のことです。アバターの細かい変更がなされていないため、今のアバターのお洋服についています』
…そういえば、今まで自分がどんな姿か見てなかったな。
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