case1 始まり

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 もし届いてるなら、新型ポータブルパソコンかバーチャルスクリーン、最悪タッチペンや音声入力ソフト用のマイク…だろうな。  ただ、オレはこれだけネットライフを熱く見ているが…全部憧れだ。  アバターの動作が重く扱いづらい、パソコンは三世代前のポンコツ、我が家の謎は家電品がレトロなところだ。  携帯だけはかろうじて新型から一つ前。ハイテクからほど遠い。 …携帯からアバターは使えるが、パソコンからのデータのせいか今ひとつ。  一ヶ月前までハガキとネット懸賞に応募しまくってたなぁ。そんな事をオレは思い出していた。  居間になければ次はオレの部屋、勉強机の上にベッド、ズラリと並んだマンガ雑誌にオーディオ、机にはオヤジのおさがりのパソコンが机の半分を今でも乗っ取っている。ドアを開ければいつも通りの…あれ? 「ダンボール?」  部屋のど真ん中に箱だ。予想していた大きさではなく、でかいペットボトルが六本入ったぐらいのダンボール。…ノートパソコンが当たったにしてはでかい。いや、中身を守るためにでかくしたとか? 「とりあえず、中身、中身」  悩むよりワクワクした気持ちが先だ。この大きさなら少なくともタッチペンやマウスじゃない。テープを破り、ふたを開けて…中身を確認する。 「…なんだこれ?」  そう、まさしくなんだこれ?中身は変わったヘッドホンとパソコンのキーボード、それとよくわからない機械がついた手袋に取り扱い説明書…。  キーボードとはしっこにあったケーブルやコードはともかく、ヘッドホンと手袋がよくわからなかった。 「ハードとモニターがないな…」  まさかと思い、取説を読んでみる。取説には部品の名称とか役割が載っている。そう、まさかだった。 「ヘッドセットモニターとハードメモリーグローブ?」  …ハイテクが進んでコンパクト化に成功したのはいいが、肝心の使い方がわからない。取説だとヘッドホンモニターには音声入力が出来て、チャットはそれで楽にできると書いてある。  よく読めば、ヘッドホンのヘッドバンドの部分がモニターだと言うからさらに驚く。…こう見ると、オヤジのパソコンが時代遅れどころか…遺跡レベルにまでになりそうだ。
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