僕しか知らない涙

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「そりゃ、これは俺自身が思ってることだから、実際はそんなことねえのかもしんねぇ。 だけど、俺がアラシヤマを守るって決めたから、だから……」 「だから……何だってんだよ。」 「シンタローさんに、アラシヤマは絶対に渡さない。」 リキッドがそう口にした瞬間、頬をシンタローの重い挙が襲った。 「勝手にほざいてろ。」 シンタローはそのまま外に出ていってしまった。 「ってー……」 霞んだ景色の中、リキッドは呟いた。 「アラシヤマ……もう泣いてねぇかな……」 静かに瞳を閉じると、リキッドの世界は闇に包まれる。 その闇の中、リキッドは一人、想う。 そうだ、明日アラシヤマの家に行ってみよう。 最近作れるようになったアップルパイでも焼いて、互いに愚痴言い合って。 俺は隊長のことでも話そう。 んで、今度は泣かせるんじゃなくて、笑わせよう。 俺の一番大好きな人を。 【END】
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