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見えなかった。彼の行動一つ一つが、まるで瞬間移動のようにすら感じられる。
これで士官学校での成績が下の方!?
アニス
(そんな奴に、オレは………ッ!)
屈辱と敗北の感じを味わったアニスは、目の前に立つ少年を鋭い目つきで睨みつける。逆に睨みつけられたアスカはどうしてよいものかわからず若干パニクっている様子だ。
アニス
「……………ッ」
睨みつけてくる瞳はやがて潤みだし、溢れた雫は頬を濡らす。
アスカ
「……あ、あの……」
言いかけたはいいものの、その先の言葉が見つからずに結局口ごもってしまう。アニスはゴシゴシと目をこすり、その場をかけさってしまった。
ミント
《“ナイトウィング”のパイロット、ようやく見つかったようですわね》
待ちかねた様子で、ミントは器に山盛りになっている菓子をひとつつまんでほおばる。
タクト
「ああ。これで、ミルフィーにも少し楽をさせてあげられるよ」
満足げな笑みを浮かべ、タクトは笑った。
ミント
《ですが、それはあくまでも彼が“ゲートキーパー”として目覚めればのお話しです。まだ気を抜くのには早すぎではありませんこと?》
言われてみればそうだ。結局のところ、彼が“ゲートキーパー”として目覚めれなければなんの意味もない。ただパイロットを見つけたというだけでは、なんの解決策にもならないのだから。
だが、これを喜ばずにはいられない。
タクト
「どちらにしても、これは大きな一歩だよミント」
ミント
《まあ、そうですわね》
タクトの浮かれように半分諦めて話を切り上げる。
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