10人が本棚に入れています
本棚に追加
光もつけない暗闇な部屋の中、アニスはベッドに横になって天井を見上げていた。
アイツの反応速度………凄いなんてレベルじゃなかった。
攻撃のタイミングに合わせて紙一重でかわす……まるで、読んでいたかのように。そして確実に仕留められたであろうポイントをあえて外し、戦闘力を奪う。アニスはそれを当たり前のようにやられたのが気にくわなかったのだ。まるで、遥か高見から見下ろされている気がして………それが嫌いなのだ。
アニス
(ちっ……思い出したくもねーのに……)
寝返って、ふて寝する。寝れば、忘れられる。そんな気がしたからだ。
一方、“デパートシップ”格納庫内で行われている最終調整もそろそろ終盤にさしかかっていた。通信ごしに外の慌ただしさやシステムチェックをしているオペレーター達の声が聞こえてくる。
アスカ
(紋章機のコックピット……なんか想像してたのと違うな)
資料で見た時は、たしかもっとシンプルだった筈。でも、この“ナイトウィング”は……なんかこう、あんまり戦闘機ってゆうかなんてゆうか……そんな気があまりしない。どちらかと言うとロボットの操縦席みたいな感じだ。模擬のコックピットには士官学校で何度も乗ったけど、こんなに狭くはなかった。せいぜい無理をすれば三人入れるか入れないかくらいだ。
ミント
《どうです?初めて紋章機に乗った感想は》
アスカ
《なんか、あんまり実感ないです……》
クレータ
「“H.E.L.O”とのシンクロ率、あまり芳しくないですね………」
ミント
「タクトさんとミルフィーさんが選ばれた方です。きっと何らかのモノを内に秘めているに違いありませんわ」
妙に確信めいたミントの言い方に、クレータは少々の疑問が残る。あの二人が選んだのはまぁわかるとして、機体との相性が悪ければ言い方は酷いが使い物にはならない。彼女はそれをわかっているのだろうか………?
最初のコメントを投稿しよう!