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だがどのみちあの機体を渡すわけにはいかない。
タクト
「悪いけどその要求には応えられないね。アレはオレ達にとっても重要だからね……」
グラール
《………そうか。ならば仕方ない》
通信が途絶え、ブリッジに緊張が走る。
「前方敵旗艦より高エネルギー反応！」
ココ
「マイヤーズ司令！」
タクト
「紋章機と“ルクシオール”は射線上から退避！同じ指示を“デパートシップ”にも！」
二機は分離し、射線軸から間一髪で逃れ、間を太い閃光が駆け寄た。
グラール
「ギリギリでかわしたか……だが！」
小型機が次々と吐き出され、“デパートシップ”へと向かっている。
リリィ
「しまった！敵の狙いは最初から“ナイトウィング”！」
タクト
「主砲でこちらを分断させて、空いて穴を突く………っ！」
タクトはすかさずエンジェル達に指示を出し、シップの護衛に向かわせる。が、その先を無人艦と小型機に阻まれてしまう。
アニス
「こ、これじゃ間にあわねー！」
カズヤ
「アスカ！！」
外での騒ぎは、コックピット内のアスカにも届いていた。もうすぐ、敵がこっちに来る。護衛できる機体はいない。まったくのがら空き状態だ。
アスカ
「クソッ、動け！動けよォ！！」
コンソールをいじっても、ペダルを踏んでも、まるで微動だにしない。
アスカ
「敵はすぐそこまで来てるんだよ！このままじゃ………―――」
死ぬ。その単語が、アスカの中で弾け飛んだ。
「エ、エンジン稼動！」
クレータ
「“H.E.L.O”とのシンクロ、安全稼動領域に到達！？」
そんなバカな！？さっきまでうんともすんとも言わなかった機体が急に動くなんて………。
クレータの予想を１８０度ひっくり返した機体は、その瞳に光を灯す。そしてそれをする引き金となった少年から音声通信が飛び込んできた。
アスカ
《クレータ班長。ハッチを開けてください。敵を殲滅します………》
先ほどまでの穏やかな口調ではなく、低く冷静な声で告げられ、クレータは思わずハッチを開けて機体を出す。星の海へと放り出された機体はエンジンに点火し、敵部隊に真っ直ぐ突っ込んで行く。
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