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だが、それではリリィの言う妙な感じの説明にはならない。それ以外の何かがある、ということだ。
歩いていると、突如通路の灯りが消え、足元を照らすライトだけが頼りになる。
アニス
「アイツら、まさかエンジンまで喰ってるんじゃねーだろうな?」
リリィがコンソールを操作して、原因を探る。
リリィ
「艦内中のエネルギーが全てエンジンルームに集まっている……」
カズヤ
「ってことは、そこに宇宙コウモリの巣が?」
可能性としては、そこが一番高い。そして、おそらくは彼女もそこに。
居ても立ってもいられなくなったカズヤは一人走り出す。
アニス
「おいカズヤ!」
アプリコット
「危険ですカズヤさん!」
カズヤ
「けど、こうしている間にもカルーアが―――!」
と、カズヤは背中に何者かの気配を感じ取る。メンバーの自分を見る顔が青ざめているのを見るからに、よほどヤバい奴なのだろう。振り返ろうにも、威圧感と恐怖で足が動かない。
宇宙コウモリ
「キシャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
アプリコットの悲鳴が、通路に木霊した。
タピオ
「エンジン停止、艦内電力の50%が失われています」
ブリッジでは緊急の事態に陥ってしまった“ルクシオール”を少しでも早く復旧させる為、タピオ・カー中佐指揮の下、オペレーター達ができる限りのことをやっていた。
ココ
「外からの通信も、艦内システムもオシャカ……本丸を叩いて、電力を取り戻すしかないわね……」
タピオ
「ですが艦長……私はやはり疑問に思います。なぜ彼を……?」
あらかたの作業を終えたタピオはモニターを見つめるココに振り返る。
ココ
「……見てみる?コレ」
そう言われ、メモリを渡される。そこには、あの少年に関する資料が事細かくビッシリと綴られていた。タピオはそれを見て驚愕する。
タピオ
「これは………!?」
ココ
「……あんまり誉められたことじゃないけど、隊員のことを把握するのも艦長としての務め。調べてたら、【見つけちゃった】のよ」
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