プロローグ

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アスカ 「……………」 深く息をすいこんで、一拍おいて鍵盤の上を指が軽やかに舞う。静まり返った空間ないに、聡明な音色がよく響く。 カズヤ 「……すごいね」 パチパチと拍手をしながら、カズヤは椅子から立ち上がる。 アスカ 「唯一得意なことといったら、これくらいで……」 照れ隠しのように笑い、ふたを閉じる。 カズヤ 「今の、なんて曲?」 アスカ 「……わからない。でも――」 アスカは窓の向こうに広がる星の海へと目を転じ、まるで懐かしむかのよに言った。 アスカ 「多分、これは………子守唄」 カズヤ 「子守唄……?」 カルーア 「あら~、あなたが弾いてらしたんですかぁ?」 おっとりとした口調で、カルーアがやってきた。どうやら彼女もアスカのピアノを聴いていたらしい。 カズヤ 「彼女はカルーア・マジョラム。公認A級魔女なんだ」 カルーア 「カルーア・マジョラムと申します~」 アスカ 「アスカ・ティラミスです。……すみません。迷惑でしたか?」 カルーア 「いえ~、そんなことはないですよ。とっても優しい音色でしたわ~」 にっこりと微笑むカルーア。アスカはそんな彼女の笑顔を見てまた照れくさくなり、顔を僅かに赤らめる。 カズヤ 「カルーア、他のみんなは?」 カルーア 「はい、クジラルームにいらっしゃいますわ~」 アプリコット 「そういえば、新人さんの着任て今日でしたよね?」 浮き輪に捕まってゆらゆらと波に揺られながらアプリコット・桜葉は言った。 アニス 「新人か~……さて、どうやって可愛がってやろうか」 ニヤリと企みの笑みを浮かべたるは、アニス・アジートだ。 リリィ 「よさないかアジート中尉。そのような振る舞いは剣の道に反する。NGだ」 アニスの企みを真っ向から否定するのは、リリィ・C・シャーベット。 ナノナノ 「新人なのだ!可愛がってやるのだ!」 そして、ただアニスの言動にわけもわからずに賛同するのが、ナノナノ・プディング。そして今いない二人を含めた彼女たちが“ルーンエンジェル隊”というわけだ。
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