壱 ここで会ったが何年目?

13/33
前へ
/33ページ
次へ
  「残念だけど、僕はアンタみたいな野郎に頭を下げるほど馬鹿じゃなくてね。教えてくれなくたって、自分で調べるしね」  自信たっぷりに話す龍生が癪に触ったのだろう。男は怒りを露に龍生を睨んだ。 「うぜぇ餓鬼だな……」 「怪我はさせるつもりないけど、痛い目にはあうかもね」  その一言が目の前の男だけでなく後ろに控える他の男どもの怒りを買い、二人を囲む男どもは全員小刀を手にした。 「丸腰相手にそれか……」 「やっちまえ!」  龍生めがけて斬りかかってくる男どもを呆れた表情で、龍生は見る。一人目の攻撃をひらりと避け、手刀で小刀を持つ手を叩いた。そしてすぐさま、右から遅いくる男の腹を殴る。 「うぐっ」  腹を殴られた男は突然の痛みに間抜けな声を漏らして蹲った。小刀を落としてしまった男が殴りかかってくるが、龍生はその男の腕と胸ぐらを掴んで男の勢いを利用して投げ飛ばす。  地面に腰を打ち付けられた男はあまりの激痛に悶え苦しんだ。 「しまった。腰を痛めたら悪いな。あ、怪我させたら治療しなきゃいけないのか? くそ、だから嫌なんだ。ケンカするのは……」 「龍生! 気を抜くな!」  龍生がぼやいている隙をついて襲いかかる男を、シャルラは鞘に入ったままの日本刀で叩きつける。軽い脳震盪を起こしたからかその男は気絶した。  
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加