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「よろしくね。シャルラ」
「気安く呼び捨てにするな。その手も離せ」
晴れ渡った青空に浮かぶ太陽にも負けないくらいに眩しい笑顔を向ける少年――龍生は、引き上げたままの状態で手を離さない。その事に憤りを感じ始めたシャルラが、明らかな拒絶を露に言い放つ。
「物は相談なんだけど、手を離す変わりに君の捜査についていっていいかな?」
「……私が良いと言うまで離さないつもりか?」
「さぁ? どうだろうね?」
へらへらとした笑みを浮かべる龍生に眉間に皺を寄せて、シャルラは大きな溜め息を漏らした。小鳥の囀りが、青空から河原へと動いていく。
その鳴き声は笛の音のようで、愛らしく響き渡った。
「……不本意だが、勝手についてくればいい。とにかく、その手を離せ」
そう言われて素直に手を離す龍生を呆れたように睨み付けると、シャルラは歩き出す。
「ついてくるつもりなら、ぐずぐずしてないで早く来い。先に言っておくが、お前がヘマをして死にかけても私には関係のないことだからな。恨むなら自分を恨め」
「はいはい」
「はいは一回でいいだろう。鬱陶しい」
シャルラの後を歩く龍生は冷ややかな視線を河辺へと向けた。穏やかな風が柳の葉を揺らし、白く輝く日光は水面に写って煌めきを繰り返す。
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