方程式?何それお菓子?

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天才とは、必ずしも存在するものである。 アメリカにある『ワールドキメラカンパニー』通称WCCは、世界中に存在する天才科学者を寄せ集め作られた、世の中の役に立つキメラを作る企業だ。 つい2年前につくられたこの企業は瞬く間に進展し、今や各家庭に一匹はWCCにより作られたキメラがいるであろう。 例として上げるなら 『犬と馬が合わさった、背にも乗れお使いも出来る最も利口なキメラ、マーヌ』 『猿とインコが合わさった、人語を話し人を和ませペットとして大人気、イッキー』 この2つが最もポピュラーである。 もちろん動物だけではなく植物等もあるが、キリがないので止めておこう。 今やキメラは、人々の生活にかかせない存在となりつつあった。 ――― 「…あーっと…次に何するんだっけ…?」 場所はWCC内部の地下、第3班研究室。 機械の前に立ちブツブツと何か呟きながら悩む男が一人いた。 長い白衣の下には藍色のタートルネックとジーパンを着ており、長く伸びた黒髪は無造作に一つに縛られている。 男の名は暁 壇(アカツキ ダン)、歳は19。 日本の科学者としてここに来た。 「…なんか足りねぇよな、うん。 つーか絶対足りねぇ」 さっきから悩み続ける彼の眼前にあるのは、キメラ製造機と呼ばれる物。 中に植物の葉や、動物の血液を入れればキメラが出来る。 ただし、かなり難解な方程式を解き分量を決めなければいけないが。 「…あれだよな、お前。 俺の足元にいるって事は、この中に入れられたいって事だよな」 足元を見ながら呟く壇。 そこにあるのは、鉄の塊のような物体。 「…よし、お望み通り入れてやるぜ。 この壇様に感謝しろぉぉお!!!」 壇の手が塊をつかみ、まるで野球のピッチャーのようなモーションでそれを機械へと投げ付ける。 その顔はまるで少年のように生き生きとしていた。 ―――ガラン ―――ドガァァアン…  
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