方程式?何それお菓子?

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「なんなのそのネーミングセンス! この子が可哀相でしょ!?」 「この子って言うとお前が母親みたく聞こえるんだけどー こいつ俺が作ったんだけどー」 「…可哀相に…!」 [……ゥナー…] その言葉を聞いた途端キエラの目が哀れみの目に変わり、ソレを見つめる。 ソレもまた動物特有の潤んだ目でキエラを見上げた。 「え、何これ。俺が悪いの?」 ―――コンコン そんなやり取りに壇がゲンナリとした顔をしていると、開け放たれたドアを律義にもノックする音が聞こえた。 大方さっきの爆発で駆け付けた同じ研究班の奴だろう、と壇はため息をつきながら振り返る。 しかしその予想は大きく裏切られた。 「やぁ、お荷物君」 「……………どうも」 「あ、メルタさん!」 その男の姿に露骨に嫌そうな顔をする壇とは逆に、嬉しそうな笑みを浮かべるキエラ。 男の名はメルタ・ラ・スクリムラ。 第2研究班の班長であり、貴族であり、天才であるといういかにも『特別』という設定の男である。 もちろんその設定のおかげで、研究員から絶大な信頼を得ているのは言うまでもない。  
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