二人の世界は世界の終わり

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 私は日々をとても新鮮な感情で暮らしていた。世界は平和に満ちていて――。私は絵画を描く意欲を留めなかった。  街は仄かに笑ってくれる。  夕焼け空は私の胸をさらに朱く染めてしまう。  頬に赤い斑点が、友人の口から思いがけない言葉を紡がせる――。  「……綺麗だね」  私は恥ずかしさを隠しきれずに、またさらに顔が熱くなったように感じた。  精一杯の助走も、踏み切りまでには空回り。それでも夕焼けの景色は、私と友人を染め続けていた。
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