二人の世界は世界の終わり

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 その翌日、東京都内から少し離れた場所にある美術大学に私は走っていた。  むろん、どこもかしこも振り返らない。  急かす人並み、流れゆく町並み、そして焦る私。  それでも、大学には予定より早い時間に着いていた。  人気は余りない。か細い声が辺りを包む。  私は今朝までに仕上げた大事な授業用のデッサン画を見直して、クラスルームへと向かった。  他に見当たる新入生の姿はぽつぽつとしてた。  季節は春一番。  天気も良好だ。  私はひとまず、白いボードを眺めてから、自分の名前と席を確認して、座っていた。
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