二人の世界は世界の終わり

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 その時に渡された、アンケート用紙には、絵にたいするたわいない想いを記入するだとか、自宅からは遠いのか近いのかだとか、そんなことが書かれていた。  私は特に深く考えずに、その二十数個のアンケートをすべて埋め、図書室から出ていった。  他には次回の授業の基本的な進行方向や、必要な画材、グループ制の部屋と教室との違いや、放課後に使用していい場所なんかが説明されていたぐらいで、気を高ぶらせるようなイベントはなかった。  これが小中学生の時なら、いささか興も高じていたかもしれなかったけれど。  私は必要な事柄をメモ帳に書きながら授業を受けていたから、安心しながら帰りの電車の中にいた。  あ、そうだ。  帰りに八百屋で野菜を買わなきゃ、食べる夕食が見つからないや。  私は一駅だけ早く降りて、八百屋を探した。駅から、すぐの場所に商店街が軒連なっていたから、全く迷うことはなかった。  商店街で予定していた買い物を済ませたあと、時計台を見てみたんだけど、まだ夕食の時間までにはほど遠い頃合いだったので、私は商店街を散策することにした。
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