39人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっと……とりあえずミッションご苦労じゃった。これでスリの奴らも少しは懲りたじゃろうて」
気まずい雰囲気の中、じいやが話を切り出した。
「さて、次のミッションじゃ。次は『連続強盗犯から金を奪いとれ』」
じいやは軽い口調でものすごいことを言い出す。
「ちょっと待って。なにもわざわざ強盗から盗らなくてもいいじゃん。その辺の家で適当に金盗めばいいじゃん」
反論するヒロⅢ世。
「え?なに?ワシ最近耳遠くて全然聞こえない」
じいやはわざとらしい演技をする。
ヒロⅢ世はボソッとつぶやいた。
「……クソジジイが」
「あ?今なんつった!?アアン?これでもバリバリの68歳じゃボケェ!そこら辺のジジイと一緒にすんなよコルァ!まだまだ元気じゃわ!反復横跳びとか30秒で50回くらいできるぞコラ!フットワーク軽いぞコルァ!」
すごい勢いで逆ギレする爺さん。
とりあえず耳が遠いわけではないということはわかった。
「じゃ、そういうことで」
じいやは怒りを押さえないまま一方的に電話を切った。
「やれやれ。やるしかないみたいだ」
ヒロⅢ世はコートを羽織り、肌寒い秋の町へ出掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!