コイン編①~アドバ・ヒロの憂鬱~

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「えっと……とりあえずミッションご苦労じゃった。これでスリの奴らも少しは懲りたじゃろうて」 気まずい雰囲気の中、じいやが話を切り出した。 「さて、次のミッションじゃ。次は『連続強盗犯から金を奪いとれ』」 じいやは軽い口調でものすごいことを言い出す。 「ちょっと待って。なにもわざわざ強盗から盗らなくてもいいじゃん。その辺の家で適当に金盗めばいいじゃん」 反論するヒロⅢ世。 「え?なに?ワシ最近耳遠くて全然聞こえない」 じいやはわざとらしい演技をする。 ヒロⅢ世はボソッとつぶやいた。 「……クソジジイが」 「あ?今なんつった!?アアン?これでもバリバリの68歳じゃボケェ!そこら辺のジジイと一緒にすんなよコルァ!まだまだ元気じゃわ!反復横跳びとか30秒で50回くらいできるぞコラ!フットワーク軽いぞコルァ!」 すごい勢いで逆ギレする爺さん。 とりあえず耳が遠いわけではないということはわかった。 「じゃ、そういうことで」 じいやは怒りを押さえないまま一方的に電話を切った。 「やれやれ。やるしかないみたいだ」 ヒロⅢ世はコートを羽織り、肌寒い秋の町へ出掛けた。
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