6/12
前へ
/87ページ
次へ
  「優美…」 かすかに呟いてみた。 呟くだけでは 何も変わらない事は 頭では分かっていた。 けど 現実が変わって欲しくて。 呟く事で 魔法でもかかって 少し何かが変わる気がして。 自分が優美を愛しているように 優美が自分を愛して欲しくて。 何度も繰り返し 名前を呟いた。 何十分もたつと 我にかえって 自分の痛さを痛感した。 “……魔法って… 俺の脳内どんだけメルヘンやねん…。 慈雨じゃあるまいし 魔法とかそんな発言 絶対人前では無理やわ…” 伸浩はそう思い なんとなく携帯を見た。 《新着メール3件》 「……」 ピッ 伸浩は無言で 3つのメールを開いた。 1つは広告。 1つは瑛から。 そして最後の1つは 優美からだった。  
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1359人が本棚に入れています
本棚に追加