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「……え?」
不意に出た言葉。だが、真の首が銃撃音の鳴った方向に振り向かれることは無かった。
何故なら、それどころでは無かったから。
血が落ちる音がした。金髪の男の、首の位置から。
……いや、違った。彼の“首があった位置から”。その赤い液体は滴り落ちていた。
「な…ぜ……?」
真は目を見開いたまま、ようやく自身の首を振りむかせ、仮面の男の方に目を向ける。
その男は、属性を付与させた拳銃をしっかりと目の前にかざしていた。
その銃口からは銃撃したという証拠をそこに残すように、モヤモヤとした気体が噴出している。
普通の銃弾ならば、彼の額を貫くだけの結果になっただろう。
だが、念には念を。属性付与が加えられたその銃弾は、何の容赦も無く、その首を体からもぎ取り、吹き飛ばした。
生きている可能性を、完全にゼロにするために。
「貴様……っ!!」
仮面の男は、銃を静かにしまい、コートで隠れた顔を少し俯かせる。
後悔しているのか、反省しているのか、それとも謝罪をしているのかは、わからない。
そんなことは、“彼”には関係がない。
「貴様ああああああああああああっっ!!」
目の前にいる男を、完全に『暗殺者』と認識した真は、すぐさま大剣を取り出し、属性変化を発動させた。
西洋剣の形状になった“虎光剣”。真はその光の刃を、相手に微塵の猶予も与えることなく、勢いをつけて振り下ろす。
が、暗殺者にとって、猶予などというものは必要なかった。
真が刃を振り下ろすと同時に、ガギンッ!!という、金属と金属のぶつかり合う衝撃音が、辺りに高く響き渡る。
「なっ……!!」
いつ武器を出したのか、それさえもわからなかった真だったが、力のぶつけ合いは既に始まっている。
その状況で、徐々にお互いの力が増していく前兆を見せた、その時。
「……人の死を目の当たりにするのは初めてか」
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