2543人が本棚に入れています
本棚に追加
なんか…バカにされてる?
「あの、何か?」
「いや。目の前で百面相してるのが面白くてな、つい。」
「は、はぁ…」
苦手なタイプ…だな。
「お前さ、来ない奴のこと待ってどうするんだよ?」
………は?
いきなり、目の前の男が言った言葉に頭がついていけず呆然となる。
「あ、あの…」
「あぁ、なに?びっくりした?それもそうだよな。お前、緒方浩志だろ。」
煙草をふかしながら目の前の男は妖しく笑っている。
な、に…言ってんだ?何で俺の名前…
「なんで知ってるって顔してるな。俺が悠美だからだよ。」
「なっ!?」
は!?ちょ…頭ついていけないんだけど!!なんだ?つまり今俺の目の前にいる男性が悠美ってことでって…えぇ!?!?
「あんたが…悠美?は?だって、悠美は女…」
「悠美が女だって、いつ言ったよ?ハハ。まんまと騙されてやんの。」
「!!」
バシャ!!
コップに入っていた水を手にとり、目の前の男にかける。
「最低な人ですね。」
雫をしたたらせた髪を上にかきあげ、男は鼻で笑う。
「そういう絶望した顔が見たかっただけさ。まぁ、水かけられるのは予想外だったけどな。」
店内はざわざわと俺らの席を注目している。
「………くそっ!!」
俺は店を急いででていく。
むかつく、むかつく、むかつく、むかつく!!
こんな最悪な日があっていいのだろうか…いや、現に今あったけど…
なんなんだよ、あいつ…人のことバカにしやがって!!
浩志が出ていった後も店内のざわめきはおさまらず。
「お客様、大丈夫でしょうか?」
ウェイトレスが慌ててタオルを持ってくる。
「緒方浩志か…なかなか面白いやつだったな…」
最初のコメントを投稿しよう!