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「俺は、お前になんか会いたくなかったよ。人のこと騙しておいてよくのこのこと顔だせたもんだな。」
鼻で笑ってやると、サギ男はクスッと笑う。
「な、なんだよ!?」
「いや、別に。あいにくだけど、俺に良心なんてものはない。だから、お前がなんでそんなに怒るのかとか色々考えてると面白くてな。笑える。」
すかしたツラでそう言うこいつがむかつく…
「このやろぉー!!!」
拳を相手の顔にあてようとしたとき、女性の黄色い声に動きを止める。
「きゃー!!!勇弥様ぁー!!」
「は?」
「………ちっ。」
一人の女性の声にいつの間にか複数の女性がこちらに向かって走ってきた。
「え…ちょ…うわぁ!!」
女性達に押された俺は地面に尻餅をついてしまう。
「いてて…」
腰を擦りながら立ち上がると、サギ男は女性達に質問攻めにあっていた。
そういえば、さっき女性の誰かが『勇弥』とか言ってたけど…こいつの名前なのか?
可愛いい女性に囲まれて、見ているとうらやましい光景だ。
なのに、目の前にいるサギ男…勇弥は面倒くさそうな顔をし、目線を下に向けたまま煙草を取り出すと火をつけ吸っている。
感じ悪いなぁ…こいつ…
と、思っていると若い柄の悪い男性集団が勇弥に近づいてきた。
「おっす!勇弥!!」
「おう…」
「こいつらねぇ~。おい、お前ら。一人ずつこっから持ち帰っていいってさ。」
何言ってんだ?こいつら…何喜んでんだ?
男性達は、近所迷惑な声をだし、喜ぶと強引に女性の手を引っ張っていく。
「は、離してよ!!」
「いいからこいよ!可愛いがってやるからよ!!」
「いやぁー!!」
な…
こいつら…
なんで勇弥はこの光景を平然と眺めてるんだよ!?
こいつら友達なのか?
いや、どちらにせよバカ共だ。
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