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「はいはい、分かりましたよぉー。」
「あ、それと、いつ帰って来れる?お父さんあなたと話しがしたいそうよ。」
お父さん…
「ごめん、しばらくは家に帰れそうにないや。夏とか課外授業とか色々あって大変だし…」
「あら、そう…残念だわ…」
「ごめん…」
「いいのよ。母さん、あなたの元気な声が聞けてよかったわぁー。じゃあ、また何かあったら電話するわね。」
「うん。じゃあ、また…」
ガチャと静かに電話を切る。
お父さん…か…
理由をつけては、家に帰らない。
高校に入ってから、家にこんなにも帰りたくないと思うのはたぶん…いや、今までなかった…
お父さん…
「嫌いだ…」
頭をぶんぶんと振り、両頬を両手で叩き気合いを入れると台所に立つ。
「よし、今日は久しぶりに煮魚でもしよう!」
余った煮魚は明日温め直して、弁当につめればいいか…
気を紛らわすためにはやっぱり料理だよな。
嫌なことがあれば、昔から料理をしては気を紛らわせていた…
嫌なことか…そういえば今回はたくさんあったなぁー…
えーっと、
勇弥と、勇弥に、勇弥が…ってアレ?ちょっと待て…
「……………………勇弥しかいねぇ…」
思い出したくもないのに、なんでこう頭の中は勇弥しかいねぇんだよ!?
あ、そっか。今回はあいつが一番俺のことを振り回しやがったんだ!!
ダアァァァァ!!むーかーつーくー!!!💢
やるせない怒りをどこにぶつけていいのか分からず、しばらくの間俺は一人で百面相をしていた…ι
終わり
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