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「ぐわあぁ!!」
え…?
目をゆっくりと開けるとぼやけた視界に写ってきたのは勇弥だった。
「ゆ…うや…」
「お前、何してんだよ?ここは俺らの陣地だけど?」
「何言ってんだ!!ここはなぁー!俺らの陣地…ぐわぁ!!」
メリメリと言う音が聞こえたかと思うと勇弥は男の手首を折れそうなほど強く握っていた。
「もう一回言おうか?ここは、俺らの陣地になったんだよ。お前らが俺らに負けたんだ。思い出させてやろうか?」
「………ち…くしょう!」
「お前らみたいな悪党に使われるより、俺らみたいな皆を通してやれる優しい奴に陣地を取られるほうが皆は幸せなんだよ。痛い目みたくなかったら引け。」
「ちっ…お前ら、行くぞ!!」
「お、おう!」
勇弥が現れてから数分もたたないうちに男達は血相を変えて逃げて行く。
「お前、なんでここにいんだよ?」
「……………」
「おい?……お前…」
「あ…」
勇弥から顔を隠すように横を向く。
情けない…みっともない…これしきのことで泣くなんて…
「遅くなったな。怪我はないか?」
コクリとうなずく。
「そうか。お前、夜遅くこんな裏路地通るんじゃねぇよ。悪党の溜り場なんだからよ。」
「…………」
「じゃあな。」
「まっ…」
思わず勇弥のシャツの裾を握る。
顔を少ししかめた勇弥は、しばらくすると妖しく笑い俺の顔を覗き込む。
「怖いのか?」
「なっ!///ちげぇよ!!立てないから…その…」
何を言おうとしているんだ…俺は。これではまるで立てないから立たせてと言ってるようなもんじゃないか…
こんな奴に立たせてほしくない…のに…
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