雨音に消える泣き声…

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「って、なんで俺が荷物置き場に乗らなきゃならねぇんだよ!!」 「黙ってなさい、ヨシ。軽なのですからしょうがないでしょう。」 「………ι」 意外だった…遥さんみたいにスーツを着こなしていてどっかの偉い貴族さん達の執事みたいな感じの人ってポルシェとか持ってると思ってたんだけど…まさか…軽自動車だったとは… 「まさにぃー。どこのスーパーに行くのかなぁ?」 「さぁな。」 なんか、あの二人顔が微妙に似てるよなぁ~兄弟かなぁ~? 「愛しのお兄ちゃんに冷たくされて可愛いそうに…ね、よっちゃん♪」 「よっちゃん!?」 「遥…こいつをあまりいじめないで欲しいんだが。」 「いじめてなどいませんよ。私は、あまりにも弟に無関心なあなたよりは優しいつもりですが。」 「遥さん…ι」 なんか…険悪なムードι仲悪いのかなぁ…? 「あーもう、せまい!!由也変われ!」 そんな険悪ムードを掻き消すかのようにヨシの叫び声が車の中でうるさいくらいに響く。 「ヨシ…子供でないんですから少しくらい我慢なさいな。ほら、もう着きますよ。」 「本当か!!」 さっきまで悲鳴あげてたのにこんなに喜んでいるなんて…単純な奴なんだな… 「さてと、ヨシは私が見ますので浩志君はゆっくり買い物してきて下さい。」 「集合場所は車の前でいいんですか?」 「はい。」 「じゃあ、また後で。」 ヨシと遥さん、俺と雅史君とよっちゃんとで別れた。 「うわぁ~…」 よっちゃんは、初めておもちゃ入りのお菓子を見るような目で駄菓子コーナーの棚にずっと座りっぱなしだ。 「何か欲しいのあるの?」 「え?…あ…えっと…えっと…」 「こいつにあまり話しかけないで欲しいな。」 雅史君が、俺の目の前で腕を組みそう言うとよっちゃんは雅史君の後ろでシャツを握りしめ怯えた目でこちらを見ている。
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