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「考え…直せ…か」
そんなことを言われても俺の答えはもうあの時決まっていた。
浩志を家族の元に返す。
それが一番最善だと思っていた。
思っていたはずなのに…
どうしてこんなに心に穴が空いたような寂しさを感じてしまうのだろうか…
別れるのが少し辛いだけなんだと思っていたのにずっと続いている…。
「俺は…本当になんなんだ…」
自分は本当は何がしたいのだろう…
一人っきりの部屋でむなしく勇弥のため息が響き渡るのだった。
「終わったわぁ~。後はこれを宅配便に出せば大丈夫ね!」
「そう…だね。」
やりきった母さんの表情とは裏腹にまだどこか気持ちは複雑なままな自分。
明日で…本当に終わりかぁ…
勇弥に気持ちを伝えて返ってこないのが勇弥の気持ちなんだと分かってるはずなのに…
まだ心のどこかで諦めがつかない自分がいる…。
「浩志兄さん。明日からまた一緒に暮らせますね!」
満が嬉しそうに話しかけてくるのにまだ複雑な自分はなんて返事をしたらいいか分からず苦笑いするしかなかった…。
次の日。
朝早くから由也達は起きていた。
「今日は浩志が帰るからね!お見送りちゃんとしないと!」
「そうだね。」
由也の張り切った声と碧が賛同する声が居間に響く。
今日は浩志が帰るからと皆でお見送りしようと前の日から由也達は言っていた。
のと、他の目的も含めて早起きしているわけなのだが…
「で?いつ話しに行くんだよ?」
ヨシが面倒くさそうにあくびをしているのを隣に座っていた雅史は睨みつけるとヨシの足を軽く踏みつける。
「Σいってぇー!!?」
「うるさい、ヨシ。」
「そうだよぉ。ヨシうるさい。」
「静かにして。」
「静かにしろよな!」
雅史、由也、碧、瑞紀…その場にいる全員になぜか注意されて行き場を無くすヨシ…。
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