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「いつって今から行くんだよ!」
「そうそう。」
由也の言葉に碧が頷く。
由也の合図と共に皆、目的の場所……勇弥の部屋へと向かう。
「勇弥~。お邪魔していいー?」
ノックをしながら由也が勇弥に呼びかける。
「…………入れ。」
しばらくすれば中から勇弥の許可が降りて皆でVサインを交わす。
「「勇弥ー!!」」
バンと勢いよく皆で中に駆け込む。
振り返った勇弥が呆れたようにため息をはいた。
「由也だけかと思ったら…お前らまでいたのか…」
はぁとため息をはく勇弥に碧がムスッと頬を膨らませる。
「なに?悪いの?僕達は今日浩志の見送りしに行くんだよ。」
「それが?」
大して興味なさそうな返事の勇弥に碧は手を差し伸べる。
「一緒に行こうよ。」
「……………っ。」
明らかに動揺を含んでいる勇弥の表情に碧は素直じゃないなと思いため息をはく。
「……行かない。」
「どうして?」
勇弥の返事に雅史が問う。
「お前らも分かるだろ…。今、俺が行っても混乱させるだけだ…。あんなにひどくした奴が行っても浩志は…」
「そう思ってるのは勇弥だけだろ?」
雅史の言葉に黙ってしまう勇弥。
ふぅと一つ息をはくと雅史が口を開く。
「俺は、浩志にひどいことたくさんした。なのにあいつは離れたりしないで、それどころか俺達にたくさん愛情をくれた。」
そばにいた由也を引き寄せる。
不思議そうな表情の由也に雅史は微笑むとさらに続ける。
「俺達も兄弟だけどすれ違いが多かった。ボタンの掛け違いなんて誰しもある。でも、それは修復できないわけじゃない。自分が動かなければ直らない。」
雅史の言葉にそうそうと碧が相づちをうつと今度は碧が口を開く。
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