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「僕も瑞紀と別れそうになったこと何度もあったよ。でも、浩志は自分も忙しいのに僕達のために一生懸命仲をとりもってくれた。それに、自分の気持ちに正直になれって教えてくれたのは浩志と勇弥なはずなんだけどなぁ~」
瑞紀の腕に自分の腕を絡ませる碧に一瞬驚いた表情をした瑞紀だが何か悟ったのか碧に微笑んでいる。
何も言わずただ黙っていると遠慮がちにヨシの声が聞こえてくる。
「あ…のさ。俺も皆と同じだ。勇弥と浩志がいてくれたから遥と今こうしていられている。でも、勇弥が蓋をしたら何も変わらないんじゃないか?例え、それが本当にいい判断だとしても自分に正直にならなきゃ見えてくるものは違うはずだろ。勇弥の気持ちは今も自分の心にあるはずだろ。」
「ヨシ…」
ヨシを見れば、照れたのか鼻の下をこすって笑っていた。
「勇弥。僕達、9時には家を出るから。後、一時間くらいあるから。」
碧の言葉に複雑そうな表情をしながらも頷く勇弥に、それ以上は何も言わず、勇弥の部屋を出て行く。
「後…一時間か…」
皆が部屋を出た後、ぽつりと勇弥が呟く。
「さて、浩志。準備はできた?」
「できてるよ。なんで母さんそんなに張り切ってんだよ?」
いつもは俺が母さんに聞く側なはずなのに妙に張り切ってる母さんに若干の違和感を感じる。
「ふふ。なんでもないわよ。ちょっと引っ越しする気分でなんか楽しくて♪」
「はぁ…」
引っ越しって…家に帰るだけだろと単純な母さんに内心ツッコミを入れる。
「てか、電車で来たとか。なんで車じゃないんだよ?」
父さんも母さんも車持ってるはずなのに…と思って聞いてみる。
「あら。仕方ないじゃない。ここの地形よく詳しくないのに車で来いってほうが無理だわ。事故が起きたらどうするの?」
いっそ起こしてくれ…ι
母さんと言い父さんと言い天然夫婦にため息が耐えない。
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