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「ひろ…「俺が欲しい言葉はそんなんじゃない…」
名前を呼ぼうとしてポツリと漏らされた言葉。
「自分に正直になるのなら…ちゃんと言ってよ…。」
「浩志…」
浩志の背中から早く言えといわんばかりにオーラが出ている。
その分かりやすいオーラにふっと口の端をつり上げる。
「浩志…」
両手を広げる。
プルルルルルー!!
電車の発車の合図が響き渡る。
「お前が好きだ。俺の元に帰って来い。」
「ゆ…勇弥ぁ!!」
扉が閉まりそうになった瞬間、隙間から飛び出てきた浩志を抱きしめる。
「ゆう…や…勇弥ぁ…」
「浩志…」
力強く抱きついてくる浩志の声は震えていた。……泣いているのだろう…
頭を優しく撫でれば、しばらくして落ち着いたのか浩志が少し体を離し俺と顔を合わせる。
その顔は涙をたくさん流したのだろう。目も顔も真っ赤に腫れていた…
優しく目元を親指でこすれば、くすぐったそうに身を捩りながらも俺の手に浩志の手が重ね合わさる。
「ゆ…や…本当?好きって…」
「本当だ。もう嘘はつかない。お前をもう二度と離したりはしない。浩志のことが誰よりも大切で好きだ。だから、ずっと俺のそばにいてくれ。」
「ぅん…うん…!!」
抱きついてくる浩志を抱きしめると、顔を見合わせ、どちらともなく唇を重ね合わせる。
あのときは冷たかった唇は今はすごく心地が良くて暖かかった…。
「ひゅーひゅー。仲がよろしいですことー」
「「あ…ι」」
しばらくそうしていたら横から棒読みで冷やかしの言葉を投げかけられる。
横を見れば、冷やかしを言った碧と皆がこちらをからかいと冷ややかな目で見ていた。
「あ…あの…///これは…ちがっ///」
「隠さなくて良いよ~♪皆にバレてるからぁ♪」
慌てて俺から体を離し訂正を入れる浩志に由也が話すもその表情はこの光景を楽しんでいるかのようだった…。
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