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「あぁ…//もう//」
行き場をなくした浩志は顔が真っ赤になるのを両手で隠している。
皆がそれを見て笑っていると碧が口を開く。
「本当に…浩志戻ってきてくれるんだね?」
「碧君…?」
顔を上げた浩志が見たのは泣きそうな碧の表情。
「僕達とまた一緒に暮らせるんだね。」
「よっちゃん。……うん。また一緒に暮らせるよ。迷惑かけてごめんね。」
「良かっ……ふぇ…」
こらえきれずよっちゃんの目からは涙がとめどなく溢れてくる。
俺も嬉しさからよっちゃんを抱きしめると涙が溢れてきた。
皆もそれにつられるように声を抑えきれず声を張り上げて泣いた。
皆の注目の的になろうが構わなかった。
今この目の前にある幸せを感じて皆嬉しかったから…。
「美恵子さん。浩志君が…」
電車の中で慌てふためく旦那の姿を見て、クスッと微笑む。
「いいんじゃないかしら。浩志には浩志の道があるんだから。」
「でも…」
「お父さんは心配しすぎよ。浩志ももう一人でなんでもできる大人になったんだわ。祝福してあげないと。」
ね?と微笑めば、ぶつぶつと一人何か呟いている旦那の姿が面白くて微笑みと窓の外を見る。
浩志。元気でやりなさいよ。
あれから数日が経った…
『もう。母さん達がせっかく荷物送ったのにまた送り返すことになるなんて…』
「だからごめんってι」
母さんから倉庫に電話が入り、荷物と母さん達を投げ出して勇弥の元に行った俺に文句をつらつらと言っている。
何回謝ったか…
『浩志。』
「なんだよ?」
また説教か?と身構える。
『元気でやりなさいよ。あなたが選んだ道なら私達は何も言わない。頑張って幸せになりなさい。』
「あ、う、うん…」
何か見据えたような母さんの言い方に少し動揺してしまう。
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