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「お、大絹さん!」
「ん~?」
ディスクにだらしなく座る大絹に楓はさっそく声をかける。
「なんだ?」
「あ、俺、澤枝楓って言います。あの、大絹さんが僕の指導係になるよう課長に言われて…」
「おーそうか、そうか。それじゃあ、俺の助手になるわけだな。」
「じょ…あ、はは。よろしくお願いします!」
若干大絹の言葉に違和感を感じるも気のせいだと思うことにした。
嫌な顔一つせず迎えてくれた大絹に自分の中の大絹への憧れがますます強くなる。
「やっぱり悪い人じゃないんだ…」
「なんか言ったか?」
「あ、いえ。」
「よし。じゃあ、そこの書類をコピーしてきてくれ。」
「あ、はい…」
なんか、パシリにされてないか…?
若干違和感を感じるも頼まれた仕事なわけでこれも指導の一つだと思い任されたコピーを終わらせる。
「よし。サンキュな。じゃあ、次は…」
「あ、あの!」
「なんだ?」
突然大声を出した楓に大絹はどうしたのかと首を傾げる。
「あ、大絹さん。俺のこと覚えてないっすか?」
「あ?」
刑事になって大絹に会ったら一度は聞いてみたかった。
自分を覚えているか…
まじまじと自分を見つめる大絹に恥ずかしさから顔をうつむかせる。
思い出すのに時間かかるよな…と、思い出した大絹を想像してその時は何て言おうか考えていた。
が。
「さあ?知らねぇなぁ?お前どこかで会ったか?」
「え…?」
大絹の言葉に頭が真っ白になり体が石のように固まってしまった。
初めての職場。今後の仕事に不安を覚えた今日この頃…。
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