番外編:新米刑事の受難シリーズ①

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警察なんてお構いなし。 仲間が横で女とイチャついていたが、警察が見えたと知って女を帰した。 『おい。お前らー。未成年で飲酒は禁止だろ。後、煙草。何時だと思ってんだー?』 くわえ煙草に、だらしなくネクタイを首からぶら下げた男にそう言われて、バカにしたように鼻で笑う。 『あんたに関係ねぇだろ、おっさん。なんならここでボコられていくか?』 『はい、残念。おじさん刑事なんだよねー。警察の人達もお前らにお手上げ。おじちゃんお手伝いしてたわけよ。』 『へー』 『はい、補導。』 刑事の一声で後ろに潜んでいた警察が俺達を取り押さえる。 負けじと暴れる俺達を逮捕するかのように手錠をかけると、それに縄をくくりつけて俺達を繋ぐ。 確かに警察に混じって背広を着ている奴がいると思ったら…こいつだったとは…と内心後悔の念で一杯でたまらずにチッと舌打ちをする。 『はいはーい。おっさんの後についてきてねー』 棒読みで先頭をきった刑事と、俺達を縄で繋いだ警察が縄を引っ張り俺達を近くの交番まで連れて行く。 親が呼ばれて、仲間達が親に叱られて土下座してまで謝った後、次々と家へ帰っていく中、俺だけ帰れなかった…。 『お前親は?』 『いるよ。でも、迎えになんか来ねーよ。俺なんかいらない奴だから。』 『ほお。ほれ。』 大して興味なさそうな返事をかえして、刑事は俺に缶コーヒーを差し出す。 『大丈夫だ。無糖じゃない。』 『……………』 誰も聞いてないのに刑事は俺に言うと缶コーヒーを開けて一口飲む。 『あぁ。ダメだな。甘すぎる。』 『……………』 『甘すぎるのもいい奴をダメにしてしまう。でも、甘すぎなくても何かが欠けてしまうのかもな。』 それはまるで俺に向かって言っているかのようで… 俺の家庭をまるで指しているかのようだった。
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